1-07 クラブ・ジェイン/リョウ
力が抜けたようになって、リョウは再びベッドにもぐりこんだ。 ジェインやモモやみずきの言ったことが、脈絡なく頭の中をぐるぐるとまわる。 やがて浅い眠りが訪れた。夢は見なかった。 目覚めると西日が部屋に差し込ん … Continued
力が抜けたようになって、リョウは再びベッドにもぐりこんだ。 ジェインやモモやみずきの言ったことが、脈絡なく頭の中をぐるぐるとまわる。 やがて浅い眠りが訪れた。夢は見なかった。 目覚めると西日が部屋に差し込ん … Continued
「守秘義務は?」 「仕方ないだろう」 「ちょ、ちょっと待ってください。じゃみずきさんとあなたは……」 「彼女と寝たのは僕」 モモが表情も変えずに言った。 「彼女はテクニシャンだ … Continued
すぐには、答えられなかった。 心の片隅では待っていた言葉なのに、 あまりにジェインの口調がなにげないので、虚を突かれた思いだった。 「君がここじゃいやだと……」 そう言われてあわてて肯く ジェ … Continued
「まずは、君の本当の歳をきかせてもらおうか。 本当にみずき君より8歳も年下なの?」 「ええ。少し前に、20歳になりました」 「ワインはいつから?」 「ワインを初めて飲んだのは…、あれは、たしか … Continued
数日後、みずきはバーに客を連れて来ていた。 男の様子から、すでに”接客”したあとだとわかる。 早い時間帯にからだが空くと、みずきはこんなことを平気でする。 男は明らかに彼女より年下だ … Continued
「おはよ!」 重い樫の木のドアを開けてみずきが入ってきたのは、翌日のことだった。 「いらっしゃい。夕べ来てくれるかと思った」 「ゆうべ?」 「バーを開ける前、近くでみずきさん見かけたから」 「ああ&he … Continued
リョウが小学生になった年、兄は大学の三年生だった。 夏休み、父は仕事が忙しいと一度も別荘に姿を見せなかった。 気難しい父がいない解放感を、誰もが感じていた。 毎日がうきうきと楽しかった。 リョウの誕生日は海 … Continued