3-01 クラブ・ジェイン/マリエ
シライとは時々会うのが習慣になった。 たいてい週末の昼前から夕方までで、二回に一回はホテルのプールで泳ぐ。 映画を見たり、レポートの資料探しに付き合ってくれることもあった。 大学祭に誘ってみると、嬉しそうに … Continued
シライとは時々会うのが習慣になった。 たいてい週末の昼前から夕方までで、二回に一回はホテルのプールで泳ぐ。 映画を見たり、レポートの資料探しに付き合ってくれることもあった。 大学祭に誘ってみると、嬉しそうに … Continued
午前10時、約束のカフェにすでに男は来ていた。 よう! と立ち上がり、ジェインの胸にこぶしを突き出す。 そのこぶしをジェインは手のひらで受けた。 男はジェインと同じくらいの背丈だったが、 さらにがっしりとし … Continued
運転しながら、ジェインは口を開かなかった。 リョウも何をどう言えばいいのかわからなくて、やはり黙ったままでいる。 やがて、このままだとあっという間にマンションについてしまうと気付いて、 少しあわてた。 「電 … Continued
“オステリア”に行くなら少しでも早く着きたい。 だが金曜の夜、タクシーはなかなか捕まらなかった。 大通りで待っていてもほとんど空車が通らないので、思い余って裏通りに入る。 ここには最 … Continued
「まだ辞めてないの!?」 カウンターのグラスにビールを注ぎながら、リョウは驚きの声をあげた。 みずきはクラブ・ジェインに採用が決まったら、 デリヘルはすぐに辞めると言っていたのだ。 「ただし週に3日だけ。 … Continued
ここはどこなのだろう。 乾いた手触りのいいシーツは、自分のベッドのものではない。 恐る恐る右手を伸ばしてみる。マットレスの果てはない。 今度は同じように左手を伸ばしてみる。やはり手は熱のこもっていない、 ひ … Continued
車でお送りします、とコバが言うのを断り、外に出る。 突き当りを左折して坂を上る。 歩きながら、深々と樹木の匂いを吸い込む。 ジェインと歩いたときには気づかなかったものだ。 リョウです、とインターフォンに告げ … Continued
「これ……」 男が隣のスツールに置いた紙袋に手をかけた。 ちらりと、リョウは袋の中を覗いてみる。 ネクタイや時計だろうか、平らな細長い箱がいくつか入っている。 「ママに、返して … Continued
力が抜けたようになって、リョウは再びベッドにもぐりこんだ。 ジェインやモモやみずきの言ったことが、脈絡なく頭の中をぐるぐるとまわる。 やがて浅い眠りが訪れた。夢は見なかった。 目覚めると西日が部屋に差し込ん … Continued
「守秘義務は?」 「仕方ないだろう」 「ちょ、ちょっと待ってください。じゃみずきさんとあなたは……」 「彼女と寝たのは僕」 モモが表情も変えずに言った。 「彼女はテクニシャンだ … Continued